Blog | 2025年6月13日
54歳・PC苦手な居酒屋店主が深夜3時のSNS作業を10分に短縮!川崎市・溝の口のAI・DX支援で売上をV字回復させた全記録
「料理は腕がすべて」と信じてきた54歳の居酒屋店主が、深夜のSNS作業に疲れ果てていました。川崎・溝の口でAIと出会い、無料ツールで少しずつ仕事を整理していく――そんな伴走の記録です。
プロローグ:静寂は、心を蝕む

武蔵小杉の喧騒から少し離れた住宅街に、橘雄介(54歳)の営む「季節料理 たちばな」はひっそりと佇んでいます。磨き込まれた白木のカウンターと、季節の花が生けられた小さな床の間。先代である父からこの店を継いで二十余年、雄介はただひたすらに、実直な仕事だけを信じて生きてきました。
「良い素材を、腕で活かす。それ以上も、それ以下もねえ」
それが雄介の口癖であり、揺るぎない矜持でした。だから、世の中がインターネットだ、SNSだ、と騒ぎ始めても、どこか他人事のように捉えていました。美味いものさえ出していれば、客は自ずとついてくる。父の背中がそう教えてくれたのです。
しかし、その「常識」が、音を立てて崩れ始めます。閉店後の静まり返った店内で、雄介はひとり、スマートフォンの画面を睨みつけていました。時刻は深夜1時半。今日の「仕事」の、最後の仕上げが残っていました。Instagramへの投稿です。
指一本で、たどたどしく文字を打ち込み、慣れない操作に何度も打ち間違えては舌打ちをする。昼間に撮った真鯛の写真は、厨房の蛍光灯の下で撮ったせいで、せっかくの美しい魚体が青白く、生気のないものに見えました。
「これじゃ、スーパーのパックと変わらねえな…」
半年前に、見かねた妻・典子が「あなたも少しは勉強しなきゃ」と半ば無理やり始めさせたSNSでしたが、成果は惨憺たるものでした。フォロワーは数十人。いいねは数個。そのほとんどが身内です。若い客が「インスタを見て来ました」なんて言う日は、夢のまた夢でした。
毎晩2時間。この不毛な作業に時間を費やすたび、雄介の心はささくれ立っていきました。睡眠時間は削られ、日中の仕込みにも集中できない。何より辛いのは、この孤独な努力が、誰にも届いていないという無力感でした。
ある日、大学生の娘・あかりが「お父さん、お店のインスタ、もうちょっとやり方変えてみたら?」と声をかけます。「もっと自然光で撮るとか、お父さんがどんな想いでその鯛を仕入れたか、ストーリーが知りたい人、多いと思うよ」。正論でした。正論だからこそ、素直に頷けません。
「うるせえ。こっちは一日中厨房に立ってんだ。そんな暇があるか」
わかっているのです。あかりの言うことが正しいことも、自分が時代についていけていないことも。だが、認めてしまえば、今まで信じてきた二十年間が、全て否定されるような気がして怖かったのです。
その夜、眠れずにスマートフォンの光を見つめながら、ふと娘の言葉が脳裏をよぎります。『ストーリーが知りたい人、多いと思うよ』。もし、俺のこだわりや想いを、俺の代わりに言葉にしてくれる「何か」があるとしたら――。
雄介は、検索窓に文字を打ち込みました。「中小企業 経営支援 AI 川崎」。いくつかの企業名が並ぶ中に、一つの言葉が目に留まります。
『かわさき楽AIサポート』 ― AIで楽に、時間を自由に。―
初回相談は無料。雄介は、震える指で問い合わせフォームを開きました。
第一章:AIという名の黒船(川崎市・溝の口のAI・DX支援)

約束の日、雄介は緊張した面持ちで、溝の口駅近くのオフィスビルを見上げていました。にこやかに出迎えてくれたのは、久本と名乗る担当者でした。柔らかな物腰に、雄介は少しだけ肩の力が抜けるのを感じます。
「まあ、その…娘に言われて、渋々来てみただけでして。正直、AIだのDXだのってのは、よくわからんのです」
プライドが邪魔をして、素直に「助けてほしい」と言えない。つい、予防線を張ってしまう雄介に、久本は穏やかに微笑みました。
「お気持ち、よくわかります。ですが、橘さんのように、ご自身の仕事に強いこだわりと誇りをお持ちの方こそ、AIは強力な味方になるんです」
「AIを『何でもできる魔法の箱』だと思われている方が多いのですが、少し違います。AIは料理でいうところの、『最高の出汁』のようなものだと、私は考えています」
「出汁…?」
「どんなに素晴らしい出汁があっても、素材が悪ければ美味しい料理は作れませんよね。AIも同じです。橘さんが長年培ってこられた経験、技術、料理への想いという最高の『素材』があって初めて、AIはその味を最大限に引き出すことができるんです。私達の仕事は、そのための出汁の引き方を、橘さんと一緒に見つけることです」
その言葉は、雄介の凝り固まった心を、ゆっくりと解きほぐしていきました。この男は、俺の仕事を、俺が生きてきた道を、否定しない。むしろ、尊重してくれている――そう感じられたのです。
堰を切ったように、雄介はSNSでの苦戦、売上の減少、常連客の高齢化、そしてどうすれば自分の料理の価値が伝わるのかわからないという悩みを語りました。久本は最後まで真摯に耳を傾け、こう切り出します。
「では橘さん、早速ですが、AIとの対話を体験してみましょう。これはChatGPTという、文章を作るのが得意なAIです」
久本は、まず雄介の看板メニュー「鯛のあら炊き」を題材に、AIへの「注文の仕方」を見せました。ポイントは2つだったといいます。
- 役割を与える:「あなたは、食通を唸らせるベテランの食レポーターです」と、AIに特定のキャラクターになりきってもらう
- 具体的な情報を与える:店主のこだわり、秘伝の煮汁、常連客の声など、まさに料理の「素材」となる情報を伝える
Enterキーが押され、数秒の沈黙の後、画面に文章が流れ始めました。父の代から受け継いだ煮汁のこと、見た目は地味でも本物の味であること、この一品のために通う常連客のこと――雄介が表現したくてもできなかった想いが、美しく力強い言葉で紡ぎ出されていました。
「…すごい。俺が言いたかったことは、これだ」
声が、わずかに震えていました。
「AIは、橘さんの言葉を待っているんです。橘さんの経験という『最高の素材』を、どう料理してほしいか、注文するだけなんです」
その日、雄介は自分の店がまだ沈んでいないこと、そして「AI」という名の黒船が、敵ではなく強力な追い風になりうることを、確信しました。
第二章:厨房から生まれた小さな革命

AIとの出会いから一週間。あれほど苦痛だった夜中のSNS投稿作業は、嘘のように様変わりしました。AIに「食レポーター」や「常連客」の役割を与え、その日のメニューのこだわりを伝える。すると、ものの数分で温かみのある投稿文が完成します。作業時間は2時間から10分へと劇的に短縮され、雄介は久しぶりに夜、ぐっすりと眠れるようになりました。
「お父さん、最近のインスタ、すごくいいね!」と驚く娘に、雄介は少し照れくさそうに「ちょっとした、相談相手ができたんだ」と答えるのが精一杯でした。
一ヶ月が経った頃、久本から次の提案がありました。「お店の運営そのものを『仕組み化』して、もっと楽をしながら、お店を強くしていきませんか?」。提案は、意外なほどシンプルなものでした。
最初の取り組みは、「デジタル仕込みノート」の作成です。これまで頭の中だけで管理していた仕込み内容や量を、無料の表計算ツール「Googleスプレッドシート」に入力していきます。
「一度リストを作れば、毎日コピーして修正するだけで済みます。仕入れの量も記録しておけば、『先週の金曜はこれくらい出たから、今週は少し多めに仕込もう』という客観的な判断ができます。スマートフォンがあれば、市場での買い出し中にでも確認できますよ」
半信半疑で始めてみると、その便利さに驚きました。頭の中が整理され、仕込みの段取りがスムーズになる。仕入れすぎによる食材のロスも、目に見えて減っていきました。
次に着手したのは、長年の課題だった「写真」です。「料理の写真は、営業中に撮る必要はありません。一番良いのは、営業前の午後、明るい時間帯に、その日出す予定の料理をまとめて撮影しておくことです」と久本は助言します。娘のあかりも「このお皿より黒いお皿の方が鯛の色が映えるよ」「徳利を少しだけ写り込ませると物語が生まれるんだよ」と現代的な感性で加わり、自分のスマートフォンで撮ったとは思えないほど生命力のある料理写真が撮れるようになりました。
予約台帳も、手書きのノートから「Googleカレンダー」へ移行。妻の典子も自宅のパソコンから予約状況を確認できるようになり、「来週は団体さんの予約が入っているから、人手を考えないとね」といった具体的な相談ができるようになりました。
一つ一つの変化は、とても小さいものです。だが、それらが組み合わさることで、店の運営は大きく効率化されていきました。毛嫌いしていたデジタルツールは、いつしか雄介にとって、新しい「調理器具」のような存在になっていたのです。
第三章:頑固親父、コードを学ぶ

仕組み化によって生まれた時間と心の余裕は、雄介の職人としての魂を再び燃え上がらせました。AIに「鯛のあら炊きの煮汁を応用した新しいメニューを提案して」と壁打ちをすると、自分では思いもよらないアイデアが返ってきます。それを元に試作を重ねる日々は、充実感に満ちていました。
そんなある日、久本が新たな提案をします。「簡単なプログラムを覚えて、橘さんだけの『自動化の仕組み』を作るんです」。
「ぷろぐらむ…?冗談じゃない。この俺が、コンピューターのあの、意味のわからん文字を打つってのか。無理に決まってる」
横文字アレルギーがぶり返し、雄介は珍しく声を荒らげました。だが久本は驚きもせず、静かに頷きます。「橘さんならできるかもしれない、と思ったんです。なぜなら、橘さんには『何のためにそれを作るのか』という、明確な目的があるからです」
久本が見せたのは、過去の売上データと天気予報を読み込み、「明日の最適な仕入れ量」を予測してリストアップする、ごくシンプルなプログラムでした。「雨の日は煮込み料理の需要が増えるから大根を多めに、といった判断を、経験則だけでなくデータも元に行えるようになります。結果として、食材のロスをさらに減らせるかもしれません」
「…食材のロスを、減らせる…?」
その一言が、雄介の心を強く揺さぶりました。食材は、生産者が丹精込めて育てた命です。それを無駄にすることは、料理人として最大の恥でした。
その日から、週に一度、久本が店を訪れてプログラミングを教えてくれることになりました。最初は、画面に「こんにちは」と表示させるだけの簡単なコードから。自分の打った文字でコンピューターが命令通りに動く――その小さな成功体験が、不思議な高揚感をもたらしました。
もちろん、道は平坦ではありません。スペルミス、全角と半角の間違い、カッコの閉じ忘れ。些細なミスで、プログラムはすぐに動かなくなります。そんな時、助け舟を出してくれたのが娘のあかりでした。「お父さん、ここのカンマが全角になってるよ」。頑固な職人親父と、デジタルに明るい娘。二人の共同作業は、夜の厨房で続きました。
数週間後、ついに目標としていた「仕入れ予測プログラム」の原型が完成します。過去の売上データを打ち込み、実行ボタンを押すと、画面に「明日の推奨仕入れリスト」がずらりと表示されました。
「…動いた。俺が…コンピューターを、動かした…」
それは、初めて魚を三枚におろせた日の感動にも似た、純粋な達成感でした。雄介の中で、デジタルへの恐怖心は、新たな道具を手に入れた職人の好奇心と愛着へと、姿を変えていたのです。
第四章:再び、暖簾に灯がともる
AIと自作の仕組みを駆使するようになって、半年が過ぎました。季節料理「たちばな」は、まるで長い眠りから覚めたかのように、活気を取り戻していました。
質の高いSNS投稿は、新しい顧客層を確実に引き寄せます。近隣の30代の夫婦が記念日に利用してくれたり、グルメな女性たちが「あのあら炊きが食べてみたくて」と連れ立って訪れたり。白木のカウンターは、多様な世代の客で賑わうようになりました。
データに基づいた仕入れとメニュー構成は、食材のロスを大きく削減し、店の経営状態を改善させました。生まれた時間と心の余裕は、雄介の創作意欲を刺激します。AIに「春菊と日本酒を使った前菜を考えて」と問いかければヒントが返ってきて、自身の経験と技術を掛け合わせ、唯一無二の一皿を創り出す。そのプロセスは、この上なく創造的で、楽しいものでした。
長年の常連客も、店の変化を喜んでくれました。「親方、最近なんだか顔つきが明るいねえ。新しい料理も、昔ながらの味も、どっちも美味いよ」。妻の典子も「あなた、お店を始めた頃みたいに、楽しそうに料理を作るようになったわね」と嬉しそうに言います。
ある金曜の夜、カウンターの隅に座っていた若い女性客が、典子に話しかけられていました。あかりの友人で、「あかりから、いつもお父さんのお店の話を聞いていて。SNSもすごく美味しそうで、ずっと来たかったんです」と笑顔で答えていたのです。
その言葉を聞いた瞬間、雄介の胸に熱いものがこみ上げました。SNSのことで口論し、反発してばかりいた父親の仕事を、娘が誇りに思ってくれていた――。
店が落ち着いた後、雄介は洗い物をしている典子の隣にそっと立ちました。「俺、間違ってたよ。ずっと、一人で意地張って、殻に閉じこもってた。あかりにも、お前にも、つらく当たって…悪かった」。それは、雄介が何年も口にできなかった、素直な謝罪の言葉でした。
エピローグ:学び、そして生きる
あれから、一年が過ぎました。季節料理「たちばな」は、今や新旧の客が和やかに集い、予約なしでは入れないほどの人気店として、地元で愛されています。
雄介にとって、AIやデジタルツールは、もはや得体の知れない黒船ではありません。長年使い込んだ包丁や手によく馴染んだ鍋と同じ、自分の仕事を助けてくれる、かけがえのない「道具」の一つです。
先日、「かわさき楽AIサポート」の久本が、ふらりと客として店に顔を出してくれました。カウンターで酌み交わしながら、久本は言います。
「橘さんが手に入れられた本当の宝物は、技術や知識そのものではないのかもしれませんね。『変化を恐れず、学び続けることの楽しさ』そのもの。それこそが、これからの時代を生き抜く、最強の武器なんだと、橘さんを見ていて改めて教えられました」
54歳にして知った、新しいことを学ぶ喜び。できなかったことができるようになる達成感。それが、錆びつきかけていた人生に、もう一度油を差し、輝かせてくれました。
学び続ける限り、人はいつでも、何度でも、新しい自分を始めることができる。川崎の片隅にある小さな店の暖簾が、それを静かに証明していました。
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