Blog | 2026年9月18日

次期学習指導要領(2030年度から)に向けて、塾・教室・学校がいま準備できること|全教科の取りまとめ案を読む

「2030年に学習指導要領が変わる」と聞いて、何をいつまでに準備すればよいか分からない――塾・教室・学校の先生方からそんな声をいただくようになりました。まなびAIを運営する私たちが文部科学省の一次資料を読み、いま分かっていることと、まだ決まっていないことを分けて整理します。

次期学習指導要領(2030年度から)に向けて、塾・教室・学校がいま準備できること|全教科の取りまとめ案を読む

まず「いつから」を正確に。改訂は2026年度末、実施は学校種ごとに順番です

「2030年改訂」という言い方をよく聞きますが、正確には少し違います。文部科学省が2026年7月に示したスケジュールのイメージでは、学習指導要領の改訂(告示)は幼稚園・小学校・中学校が2026年度末(2027年3月頃)、高等学校が2027年度末(2028年3月頃)の予定です。2030年度は、小学校で新しい学習指導要領が全面実施になる年度にあたります。

学校種改訂(告示)予定全面実施
小学校2026年度末2030年度から
中学校2026年度末2031年度から
高等学校2027年度末2032年度の入学生から学年進行、2034年度に全面実施

告示から全面実施までの間には周知期間と「先行実施」の期間があり、教科書は著作・検定・採択を経て切り替わります。資料には「今後変更の可能性がありうる」と明記されているので、日付は予定として押さえてください。段階ごとの流れはまなびAIの次期学習指導要領ハブに表で載せています。

いま出ているのは「案」です。ただし、中身はかなり具体的です

2026年8月から9月にかけて、算数・数学、理科、国語、社会、外国語、情報・技術のほか、総合的な学習の時間、特別活動、生活科、体育・保健体育、芸術、家庭、道徳と、すべての教科等のワーキンググループが「取りまとめ(案)」を公開し、8月31日には教育課程企画特別部会に「審議まとめ(素案)」が示されました。どれも審議段階の文書で、告示ではありません。一方で、新しい科目名の候補や内容項目の並びまで書かれており、「方向性だけ」の段階でもありません。

私たちは、この「案だけれど具体的」という状態を、確定・検討中・未確定に色分けして読むことにしました。以下は教科ごとの要点です。詳細と一次資料へのリンクは、それぞれまなびAIの比較ページにまとめています。

情報|小学校に「情報の領域」、中学校に「情報・技術科」。高校は情報Ⅰを維持

  • 小学校3〜6年の総合的な学習の時間に「情報の領域」を新設し、情報技術の活用・適切な取扱い・仕組みの理解を体系的に学ぶ案。
  • 中学校は技術・家庭科の技術分野を発展させた新教科「情報・技術科」を創設する案。
  • 高校は情報Ⅰ(必履修)と情報Ⅱ(選択)の構成を維持し、AI・データサイエンスを充実させて内容を5項目に組み直す案。
  • 他教科と違い、小学校は2028年度から、中学校は2029年度から段階的に先行実施する経過措置を検討すると書かれています。動きが早い教科です。

情報活用能力・情報科で何が変わり得るか(まなびAI)

算数・数学|6つの分野に統一、数学Ⅰに「社会を読み解く数学」、数学A・B・Cを再編

  • 小学校算数から高校数学Ⅰまでの内容を6つの分野で小中高そろえて整理する案。
  • 小学校では割合・比・分数の内容と学ぶ順番を見直し、中学校には「数学ガイダンス」を新設。
  • 高校は必履修の数学Ⅰに確率・統計・行列・数列の基礎を学ぶ「社会を読み解く数学」を置き、数学A・B・Cを一つの新科目に統合する案。

算数・数学で何が変わり得るか(まなびAI)

理科|物理・化学・生物・地学の4分野に再編、「科学ガイダンス」を新設

  • 小学校の4領域と中学校の第1分野・第2分野を、小中高共通の4分野に組み直す案。内容が難しくなるものではないと資料は明記しています。
  • 小学校に分野をまたぐ「理科と日常生活」、中学校に「科学ガイダンス」を新設。
  • 高校は「科学と人間生活」を見直して4単位版を新設し、必履修の組合せを3パターンにする案。

理科で何が変わり得るか(まなびAI)

国語|話す・聞く/書く/読むを「話や文章の機能」でつなぎ直す

  • 「論説を読む」「意見文を書く」「提案のスピーチをする」を、同じ「考えや主張を理由付けて吟味する」働きとして関連付けて指導できるよう、内容の並べ方を変える案。
  • 語彙・読書・情報の信頼性の学びを厚くし、音読と手書きの書写は引き続き重視。
  • 高校は必履修2科目を維持しつつ、すべて4単位だった選択科目を標準2科目(4単位)と発展4科目(2単位)に再編する案。

国語で何が変わり得るか(まなびAI)

社会・地理歴史・公民|中学校に地理・歴史・公民をつなぐ3つの単元、資料の信頼性を確かめる技能

  • 中学校に、入口の「社会へのまなざし」、公民への橋渡し「私たちと社会」、まとめの「よりよい社会を目指して」という分野横断の単元を設ける案。地域調査はここに位置付けます。
  • 資料の出典・年代・作成者を確かめる「情報の妥当性の確認」を技能として新設。AIの要約をそのままコピペした成果物は通用しない評価の工夫を「喫緊の課題」としています。
  • 高校は地理総合に導入単元、公共は扱う事柄を13から10に精選、教科書の用語を減らす方針を2027年秋までに示す案。

社会・地理歴史・公民で何が変わり得るか(まなびAI)

外国語(英語)|語彙と文法を「減らして繰り返す」、高校科目は(総合)と(発信)に

  • 「AIで翻訳できる時代に、なぜ外国語を学ぶのか」を再定義したうえで、国が基盤語彙リストを作り、中学校の文法事項を使用頻度の高いものに焦点化する案。
  • 高校は「英語コミュニケーション」を(総合)、「論理・表現」を(発信)に改め、読んだ・聞いたことをもとに話す・書く領域統合を強化。
  • CEFR B2相当以上の外部試験で必履修科目を免除し、発展的な学習や英語以外の外国語に振り替えられる仕組みを検討。

外国語(英語)で何が変わり得るか(まなびAI)

総合・特別活動・生活科|小中の総合を「総合的な探究の時間」に、探究の形態と学校行事の線引き

  • 小学校・中学校の「総合的な学習の時間」を高校と同じ「総合的な探究の時間」に改め、小学校の総合は「探究の領域」と「情報の領域」の2領域にする案。
  • 探究の形態を、教師が起点の「テーマ探究」と個人が起点の「マイ探究」、研究系・行動系・創作系として示し、最終学年などに「節目としての探究」を置く。学校行事を総合で代替できる範囲も線引き。
  • 特別活動は「確かな民主主義の担い手を育み、共生社会を実現する基盤」と位置付け直し、生徒会活動に学校運営への意見表明を明記。生活科は「身体性」を軸に意義を再定義。

総合・特別活動・生活科で何が変わり得るか(まなびAI)

体育・芸術・家庭・道徳|「スポーツ理論」への改称、家庭科の5領域再編

  • 中学・高校の「体育理論」を「スポーツ理論」に改め、公正・協力などの態度に関する指導を「運動との関わり方」として知識・技能を中心に組み直す案。小1〜4は「遊び」の要素を取り入れた学習に。
  • 家庭科は「家族・家庭と生涯発達」「生活の経営と消費生活」「食生活」「衣生活」「住生活」の5領域に再編。高校のホームプロジェクトは「個人探究」、学校家庭クラブ活動は「協働探究」と呼び替える案。
  • 芸術は発想から表現までを一続きの「思考力、判断力、表現力等」として示し、道徳は家族・友人関係の実態に合わせて内容項目の文言を見直す案。

体育・芸術・家庭・道徳で何が変わり得るか(まなびAI)

塾・教室・学校が、いま準備できる3つのこと

告示前に教材を作り替える必要はありません。むしろ今やると無駄になるものが多い時期です。それでも、告示後に慌てないために、今から進めておくと効く準備が3つあります。

1. 教える側が、生成AIとデータを「自分の道具」にしておく

どの教科の案にも、生成AIの出力を吟味する力、データを根拠に判断する力、情報の信頼性を確かめる力が入っています。子どもに教える前に、先生方自身が日々の授業準備や事務で生成AIを使い、どこまで任せてよくてどこは自分で確かめるかを体で分かっている状態が、いちばんの下地になります。

2. いまの指導計画を、次期案の言葉で言い換えてみる

理科なら「この単元は物理・化学・生物・地学のどれで、前後の学年とどうつながるか」、国語なら「この文章は理解を促すのか、納得を促すのか、想像を促すのか」、算数・数学なら「6分野のどこにあたるか」。現行の単元を次期案の区切りで言い換えておくと、告示後に教材を移す作業が短くなります。作り替えではなく、ラベルを付ける作業です。

3. 情報スキルと教科の内容を、分けて持っておく

タイピング、グラフの作り方、データ分析、プログラミングは、新しい教科・領域でまとめて教える方向です。各教科はそれを前提に、教科固有の内容に集中する形になります。教材や指導案の中で「これは情報の扱い方」「これは教科の内容」を分けて整理しておくと、どちらの側の変更にも対応しやすくなります。

かわさき楽AIサポートでお手伝いできること

私たちは、学習指導要領のデータを検索して教材を生成する「まなびAI」を自社で開発・運用しています。AIの専門家ではなく、整理役・伴走者として、塾・教室・学校向けに次の3つをお手伝いしています。

  • 教員・講師向けの生成AI研修。メディアリテラシー、AIの適切な利用、プログラミング的思考を、先生方自身が体験して説明できる状態にします。1回2時間から、校内研修にも対応します。
  • 新学習指導要領に沿ったカリキュラムの整理。現行の指導計画を一次資料の言葉に翻訳しながら次期案と並べ、どこを先に変え、どこは待つかを一緒に決めます。先生方が自分で更新できる形にします。
  • 教材づくりと校務の効率化。学習指導要領準拠の教材生成、採点補助、保護者向け文書の下書きなど、授業準備と事務の時間を生成AIで短くします。まず無料枠で試し、業務化は月数千円のAIから。同意なく課金しません。

塾・教室向けの詳しい支援内容は塾・教室のAI活用支援のページに、初回のご相談(無料)は相談予約からお願いします。

一次資料

この記事の内容は2026年9月18日時点の審議資料に基づいています。告示や新しい資料が出たら、まなびAI側の比較ページを先に更新し、この記事にも反映します。

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