Blog | 2026年9月30日

介護施設の回想法・ライフヒストリーにAIを使う|職員が聞き役、本人は話すだけ

入居者の話を聞く時間はあっても、記録に残す時間がない。介護の現場でよく聞く話です。聞き役は職員や家族、本人は話すだけ。記録はAIが整える。その形を、同意と個人情報の線引きとあわせて整理しました。

介護施設の回想法・ライフヒストリーにAIを使う|職員が聞き役、本人は話すだけ

回想法やライフヒストリーの聞き取りは、多くの介護施設で何らかの形で行われています。入居者が自分の人生を語ること自体に意味があると言われ、職員にとってはケアの手がかりに、ご家族にとっては会話の材料になります。

一方で、現場の声はだいたい同じです。「聞く時間はある。でも記録に残す時間がない」。聞いた話は職員の頭の中にだけ残り、担当が変わると消えます。この記事では、その「記録に残す」部分をAIに任せる形を整理します。

前提:入居者は端末を操作しない

施設でAIの話をすると、最初に出る懸念は「入居者はスマホを持っていない」「持っていても画面が見えない」です。答えは単純で、入居者は操作しません。操作するのは職員かご家族で、ご本人は話すだけです。必要なのは「話せること」だけで、端末も、アカウントも、ご本人には要りません。

聞き役がやること

職員やご家族が隣に座り、AIが出す質問を読み上げて、ご本人の答えをマイクで入れます。聞き方の要点は3つです。

  • 質問は一度に一つ。重ねない
  • 答えが短いときだけ、「誰がそばにいましたか」「どんな音や匂いがしましたか」「いつ頃ですか」のうち一つを足す
  • 話したくないことは飛ばす。理由は聞かない

聞く順番は、生まれた場所、子どものころの遊びと食べもの、失敗した話、仕事の原点、家族と忘れられない人、転機、大事にしてきたこと、聞かせたい相手へのひとこと。1回10〜20分で、無理なく1話が残ります。

記録はAIが整える。職員は書き起こさない

話した内容は、AIが「題名・時期・テーマ」の付いたカードにして年表に置きます。職員が書き起こす作業はありません。年表が貯まったら、構成と文体を選んで一冊の本(PDF)にできます。ご家族に渡す、誕生日に読む、といった使い方ができます。

線引き:同意と個人情報

ここを曖昧にしたまま始めると、良い反応をもらった直後に止まります。先に決めておくことを挙げます。

  • 本人の同意を基本にする。話が記録されること、話したくないことは話さなくてよいこと、記録はいつでも消せることを伝えて、同意を得る
  • 判断能力に不安がある場合は、ご家族の同席と施設の判断で実施の可否を決める。ルールは施設ごとに文書にする
  • 聞かないことを決める。住所、電話番号、正確な生年月日、病名、通院先、お金の細かい話。話に出てきても記録に残さない
  • 記録の置き場所を施設名義にする。職員個人のアカウントに他人の人生の記録を置かない。退去や逝去のときにご家族へ書き出して渡す手順を最初から決めておく
  • AIの学習に使われない契約形態のサービスを使う。無料の個人向けAIを業務に使わない
  • 写真・音声・できあがった本の権利は、ご本人とご家族のもの。施設や支援者は事例として使うとき別途同意を取る

施設への入れ方:代行ではなく「職員研修+道具」

外部の業者が聞き取りをして納品する形は、費用がかさむうえ、施設の中に何も残りません。当社が勧めるのは、職員が自分で回せる状態にして置いてくる形です。

  • 職員向けの導入研修(仕組みと約束、職員同士でのインタビュー体験、入居者1名との実施)
  • 道具一式(聞き取りの進め方カード、同意書のひな形、家族への渡し方の手順)
  • 月1回の見直し(うまく聞き出せない例の相談、新しい出力の紹介)

入居者ご本人が話すだけで一冊が残る道具として、当社では語りAI物語を開発しています。施設向けには、施設名義のアカウントと、ご家族への引き渡し機能をセットにする予定です。

ご相談の入口

「うちの施設で試せるか」「まず30分話を聞いてほしい」という段階で構いません。回想法やライフヒストリーの取り組みが既にあるか、職員が話を聞く時間はあるか、ご家族はどんな形で残したがるか、施設のPCやアカウントの実情はどうか。この4点を伺って、無理のない形を一緒に考えます。初回のご相談は無料です。

まとめ

  • 入居者は操作しない。話すだけ。聞き役は職員か家族
  • 記録はAIが年表に整える。職員は書き起こさない
  • 同意・聞かないこと・記録の置き場所・学習に使われない契約を先に決める
  • 代行ではなく、職員研修と道具で施設の中に残す

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