お悩み解決 / 小売店
力を入れる商品が決まらない|売れ筋と死に筋を30分で仕分ける3ステップ
棚は埋まっているのに、売上はいまひとつ。何を増やして何を減らせばいいのか、頭では分かっているようで、いざ発注書を前にすると手が止まる——。感覚ではなく、手元の数字で決められるようにする手順をまとめます。
こんな状態、ありませんか?
うちは商品数だけは多いんです。仕入先とのつきあいで置いているもの、昔からの定番、試しに入れてみたもの。棚はいっぱいなのに、売上は横ばいのままです。「売れ筋に絞ったほうがいい」と言われるのは分かるのですが、どれが売れ筋なのかを聞かれると、はっきり答えられません。レジのデータは出せるはずですが、開いても数百行の一覧が並ぶだけで、どこを見ればいいのか分からず閉じてしまいます。結局、いつもの発注書をそのまま出して、また同じ棚のまま1か月が過ぎます。
こう変わります
手元の売上一覧が「先に守るA」「様子を見るB」「見直すC」の3つに分かれた状態になります。発注のときに迷う対象が数百から数十に減り、棚のどこを広げてどこを詰めるかも同じ表から決められます。作業は30分ほど、費用はかかりません。次の月からは同じ手順を10分でくり返せます。
やり方(レジ・POSの売上一覧(CSVで出力)または手書きの売上メモ + 無料AI(ChatGPT / Gemini / Claude))
- まず、材料を1つの表にします。必要なのは「商品名」と「その期間に売れた金額」の2列だけです。レジやPOSから期間を指定して売上一覧をCSVで書き出してください。期間は直近3か月をおすすめします。1か月だと、たまたま法事や行事で動いた商品が上に来てしまい、1年だと季節ものの動きがならされて見えなくなるためです。POSを入れていない場合は、仕入れの伝票から「よく補充している順」に30品ほど書き出すだけでも始められます。ここで完璧を目指さないでください。金額が概算でも、順番さえ大きく違わなければ仕分けの結論は変わりません。書き出したファイルは、商品名に個人のお客様の名前や取引先の担当者名が混じっていないかだけ確認してください。混じっていれば、その列は削除してからAIに貼ります。
- 次に、売上の大きい順に並べて、上から積み上げていきます。無料AIに表を貼って、次のように頼んでください。『これは私の店の商品ごとの売上一覧です。次の手順で表を作り直してください。①売上金額の大きい順に並べる。②全体の売上合計を出す。③上から順に売上を足していった「累計」と、それが全体の何%にあたるかの「累計構成比」の列を追加する。④累計構成比が70%に届くまでの商品をA、70%超〜90%までをB、90%超をCとしてランクの列を付ける。⑤最後に、A・B・Cそれぞれの商品数と売上合計を、簡単な表でまとめてください。===(ここに商品名と売上金額の一覧を貼る)===』 表計算ソフトの関数を覚えていなくても、貼って頼むだけでこの形になります。出てきたら、まずA・B・Cの商品数を見てください。多くの店では、Aが全体の2割前後、Cが半分近くを占めます。この「Cがこんなに多かったのか」という実感が、この作業でいちばん効く部分です。
- 最後に、Cの扱いを3通りに仕分けます。ここを飛ばして「Cは全部やめる」とすると失敗します。売上が小さくても、その商品目当てに来るお客様がいたり、他の商品とセットで買われていたりするからです。Cの一覧を見ながら、①やめる(在庫を切らしても困らない)②残すが場所と量を減らす(置き場を狭くし、発注ロットを下げる)③あえて残す(来店のきっかけ・他と一緒に買われる・頼まれて仕入れている)の3つに印を付けてください。判断に迷うときは、AIに考える材料を出させると早いです。『次の商品について、売上が小さくても店に置き続ける理由になりうる観点を5つ挙げてください。そのうえで、私が「やめる・減らす・残す」を決めるために自分で確認すべきことを、質問の形で3つ作ってください。===(迷っている商品名と、その商品についての気づきを書く)===』 仕分けが終わったら、印を付けた一覧をそのまま次回の発注書の横に置いてください。この紙があるだけで、発注の判断が「思い出す作業」から「見て決める作業」に変わります。
3か月に1度、同じ手順でやり直すのがおすすめです。1度きりだとその時点の判断で止まりますが、くり返すと「BからAに上がってきた商品」が見えるようになり、これが次の主力の芽になります。なお、売上一覧に取引先の担当者名やお客様の名前が入っている場合は、その列を削ってからAIに貼ってください。商品名と金額だけあれば、この作業は成立します。
数字でイメージ
たとえば取扱商品が280品ある雑貨店で試すと、Aに入ったのは48品でした。売上の7割を、全体の2割弱が生んでいた計算です。一方でCは150品を超えていて、そのうち半分近くは3か月でひと桁しか動いていませんでした。ここで店主が「全部やめる」と決めなかったのがポイントです。Cを3通りに仕分けたところ、「やめる」が60品、「量を減らす」が70品、「あえて残す」が25品に分かれました。あえて残す25品には、それを買いに来たついでに他の商品も買われている定番が含まれていました。結果として棚は詰まり、空いた場所をAの商品に回せています。数字は仕分けの入口で、最後に決めるのは店主の判断、という順番になります。
ありがちな失敗・注意点
- 「売れている感じがする商品」を頭の中の印象で選ぶ。よく話題に出る商品と、実際に売上を積み上げている商品はずれることが多いので、必ず金額の順に並べてから見る。
- 期間を1か月だけで見る。行事や天候でたまたま動いた商品が上位に来てしまう。3か月ほどでならすと順番が安定する。
- 売上の「数量」だけで並べる。単価の低いものが上に来てしまい、店の売上を支えている商品が下に沈む。まずは金額で並べる。
- Cに入った商品を一律でやめる。来店のきっかけになっている商品や、他と一緒に買われている商品が混じっているので、必ず3通りに仕分けてから決める。
- 仕分けた結果を頭の中だけに置く。次の発注のときに思い出せないので、印を付けた一覧を発注書の横に置く。
- 1度やって終わりにする。順番は季節や取扱いの変化で入れ替わるため、3か月に1度くり返す。
- 商品名の列に取引先の担当者名やお客様の名前が混じったままAIに貼る。使うのは商品名と金額だけなので、他の列は削ってから貼る。
もう一歩:さらに深掘りするAIプロンプト
慣れてきたら、次のように聞くと一歩踏み込めます。
仕分けが終わったら、そのまま次を送ってください。『ここまでのA・B・Cの仕分け結果をもとに、私が毎月10分で同じ作業をくり返すための手順書を作ってください。7ステップ以内、1ステップ1文で、必要なデータと開く画面が分かるように書いてください。最後に、前回と比べて何を見れば変化に気づけるかを1行で付けてください。』 これで、次からは考え直さずに同じ判断ができます。
まとめ
力を入れる商品が決まらないのは、考えが足りないからではなく、判断する対象が多すぎるからです。売上の大きい順に並べて上から積み上げるだけで、先に考えるべき商品は数十品まで減ります。今日はまず、直近3か月の売上一覧を1つ書き出すところから始めてみてください。データの出し方や読み方に迷ったときは、初回無料相談でお気軽にどうぞ。
よくある質問
POSレジを入れていません。それでもできますか。
できます。仕入れの伝票や発注履歴から「よく補充している順」に30品ほど書き出すところから始めてください。金額が概算でも、順番が大きく違わなければ仕分けの結論はほとんど変わりません。まずは手書きのメモで一度やってみて、続けられそうなら売上データを出せる仕組みを検討する、という順番で十分です。
A・B・Cの区切りは70%・90%でないといけませんか。
決まりではありません。よく使われる目安がその2つというだけで、店の事情に合わせて動かして構いません。取扱商品が少ない店なら、Aを50%までにして絞り込みを強くしたほうが判断しやすいこともあります。大事なのは数字の正しさより、「先に考える商品」と「後から考える商品」が分かれることです。
Aに入った商品だけを増やせばいいのですか。
Aを守るのは前提ですが、Aだけに寄せると店の幅が狭くなり、お客様の来店理由が減ることがあります。おすすめは、Aは切らさない体制をつくり、Bの中から「伸びていて次のAになりそうなもの」を2〜3品選んで押してみる、という進め方です。BからAへ上がってきた商品を追いかけると、次の主力が見つけやすくなります。
季節商品はどう扱えばいいですか。
季節商品は、年間を通した表とは別に、その季節だけの期間で同じ手順をもう一度かけてください。3か月の表に混ぜると、時期の外では下位に沈み、時期の中では上位に来るため、判断がぶれます。季節ごとに別の表として持っておくと、翌年の発注のときにそのまま使えます。
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