お悩み解決 / 飲食店
アルバイトの時給、いくらにすれば?|「なんとなく」をやめて“決め方”を1枚にする3ステップ
新しく入る人の時給をいくらにするか。長く続けてくれた人をいくら上げるか。毎回その場で悩んで、あとから「あの人と差がついてしまった」と気づく。これは決め方が悪いのではなく、決め方そのものが手元にないだけです。
こんな状態、ありませんか?
募集を出すたびに、近所の店の張り紙をちらっと見て「これくらいかな」と決めています。入ってから頑張ってくれる人がいると、その都度いくらか上げる。悪気なくそうしているうちに、あとから入った人のほうが高い、同じ仕事をしているのに20円違う、という状態ができあがります。本人から「どうしたら上がりますか」と聞かれても、はっきり答えられません。上げると人件費が心配、上げないと辞められるかもしれない。毎回その場の判断になるので、決めるたびに疲れます。
こう変わります
募集のときは表の一番下の段を見るだけ、昇給のときは今どの段かを見るだけになります。「どうしたら上がりますか」と聞かれたら表を見せて、次の段にある項目を一緒に確認すればいい。差がついたときも理由を説明できるので、店主が気まずくなりません。しかも「あと1つできることが増えれば上がる」と分かっている人は辞めにくくなります。決めるたびに使っていた気力が、まるごと戻ってきます。
やり方(無料AI(ChatGPT / Gemini / Claude)+ 今いるスタッフの担当業務メモ。表計算ソフトは使っても使わなくても構いません)
- まず、自分の店で「できること」を思いつくまま書き出します。ホールなら注文を取る・配膳・レジ・電話予約の対応・クレームの一次対応・閉店の締め作業。キッチンなら仕込み・盛り付け・揚げ場・発注・在庫の確認。順番も分類も気にせず、箇条書きで20〜30個並べれば十分です。あわせて、今いる人それぞれが「どこまでできるか」に印を付けます。ここは記憶で構いません。この時点で、実は3人しかできない作業がいくつもあることに気づくはずです。それが後で効いてきます。
- 書き出した一覧を無料AIに貼り、段組みにしてもらいます。こう聞いてください。『私は飲食店を経営しています。次はアルバイトが担当する業務の一覧です。これを「入ったばかりの人ができること」から「一人で店を任せられる人ができること」まで、3〜4段階の習熟度に整理してください。各段階に名前を付け、その段階に上がったと判断できる具体的な条件を2〜3個ずつ書いてください。時給の金額は書かなくて構いません。専門用語は使わず、そのままスタッフに見せられる表現でお願いします。===(業務の一覧をここに貼る)===』 金額を書かせないのが大事なところです。AIは相場も地域の事情も知りませんし、最低賃金は毎年変わります。ここでAIに任せるのは「段の作り方」だけで、いくらにするかは次で自分が決めます。
- 出てきた段に、自分で金額を入れます。一番下の段は、地域の最低賃金と近隣の募集を見て決めます。上の段は「一番下からいくら上げるか」の幅で考えると迷いません。段と段の差が小さすぎると上を目指す気になりませんし、大きすぎると人件費が跳ねます。決めた表は、そのまま募集の文面と面接の説明に使い、既存のスタッフにも一度共有します。このとき、今の時給が表とずれている人が必ず出ます。下げる方向の調整はしないのが原則で、表のほうを実態に合わせて直すか、その人は次の昇給を見送って追いつくのを待つ、という形にします。既に払っている賃金を引き下げるのは労働条件の不利益変更にあたり、本人の同意なしには行えません。ここは自己判断せず、必要なら社労士に相談してください。
AIに貼るのは「業務の内容」だけにしてください。スタッフの氏名、生年月日、時給の実額、家庭の事情といった情報は入れる必要がありません。人を特定して相談したいときも「入って3か月のAさん」のように置き換えれば、返ってくる整理の質は変わりません。
数字でイメージ
たとえばホールのアルバイトが6人いて、時給が1,120円から1,200円までばらついているとします。この80円の幅に理由があるかと聞かれると、答えられない。実際に業務を書き出してみると、締め作業まで一人でできるのは2人だけで、そのうち1人は一番安い時給でした。ここで「注文と配膳ができる」「ピーク帯を一人で回せる」「締めまでできる・新人に教えられる」の3段にして、段ごとに40円ずつ差を付けたとします。締めまでできる2人を最上段に置くと、1人は据え置き、もう1人は80円上がります。月80時間なら6,400円の増加です。一方で、その人がいないと締められない状態を放置したまま辞められた場合、募集と教育でかかる時間は20時間を超えます。6,400円の増加と、店が回らなくなる不安。どちらを選ぶかが、数字で比べられる状態になります。
ありがちな失敗・注意点
- AIに時給の金額そのものを決めさせる。AIは地域の相場も、最新の最低賃金も、あなたの店の利益率も知りません。段の作り方や条件の言語化は得意ですが、金額は必ず自分で決めてください。最低賃金の最新額と発効日は、厚生労働省や神奈川労働局などの公式ページで確認するのが確実です。
- 既に払っている時給を、表に合わせて下げてしまう。これは労働条件の不利益変更にあたり、本人の同意なしには行えません。表よりも高い人は据え置きにして、まわりが追いつくのを待つのが基本です。判断に迷ったら社労士へ。
- 段の条件を「頑張っている」「気が利く」といった言葉で書く。判断する人によって答えが変わるので、結局また“なんとなく”に戻ります。「一人で締め作業ができる」「新人に一通り教えられる」のように、できたかどうかを誰が見ても言い切れる形にしてください。
- 表を作っただけで、本人に見せない。見せなければ「次に何ができれば上がるか」が伝わらず、定着の効果はまったく出ません。作ったら必ず共有します。
- 深夜・時間外の割増を段の話と混ぜてしまう。割増賃金は表とは別のルールで、法律で計算方法が決まっています。表はあくまで基本の時給を決めるもの、と切り分けてください。
- 一度作って放置する。最低賃金は毎年秋に改定されるので、一番下の段が下回ってしまうことがあります。年に1回、改定の時期に表を見直す日を決めておくと安心です。
もう一歩:さらに深掘りするAIプロンプト
慣れてきたら、次のように聞くと一歩踏み込めます。
表ができたら、次のように聞くと採用と教育まで一気につながります。『次の習熟度の表をもとに、(1)募集の文面に載せる「入社後にできるようになること」の説明文、(2)面接で今の段階を見極めるための質問を各段階3つずつ、(3)新人が最初の段を卒業するまでの1か月分の教育チェックリスト、の3つを作ってください。専門用語は使わず、そのまま使える文章でお願いします。===(作った表をここに貼る)===』 求人票・面接・教育が同じ1枚の表でつながるので、言っていることがぶれなくなります。
まとめ
時給が決められないのは、あなたが優柔不断だからではありません。判断のよりどころが手元にないからです。できることを書き出して、段に分けて、金額を入れる。この1枚があるだけで、募集も昇給も説明も、迷う場面がまとめて消えます。賃金のルールづくりで法律が気になるところは社労士へ、表の作り方や書き出しの整理でつまずいたら、初回無料相談でお気軽にどうぞ。
よくある質問
スタッフが3人しかいない小さな店でも、表を作る意味はありますか。
あります。むしろ人数が少ないほど、一人ひとりの時給の差が目につきやすく、説明できないままだと関係がぎくしゃくします。3人なら段は3つで十分ですし、作るのに30分もかかりません。将来4人目を採るときにも、そのまま募集の条件として使えます。
段を上げると人件費が増えます。上げないという選択はありませんか。
上げないこと自体は選べますが、そのときも表があったほうが有利です。「今は上げられないが、この段に届けばいくらにする」と先に伝えられるからです。金額を動かせない時期でも、次の目標が見えていれば人は残ります。増える人件費が心配な場合は、1時間あたりの成果を上げる側から先に手を付ける方法もあります。
近隣の店より安いと分かってしまいそうで、表を見せるのが怖いです。
表に書くのは自分の店の段と金額だけで、他店との比較は載せません。それに、働く人が辞めるかどうかを決めるのは金額だけではなく、「この先どうなるか分からない」という不透明さも大きな要因です。段が見えるだけで、同じ金額でも受け取られ方が変わります。
最低賃金が上がったとき、表は全部作り直しですか。
作り直す必要はありません。一番下の段の金額を新しい最低賃金以上に直し、段と段の差をそのまま乗せて上に積み直すだけです。最低賃金の最新額と発効日は毎年変わるので、公式の発表で確認してください。作業としては年1回、15分程度です。
時給ではなく、手当や食事のまかないで差を付けるのはどうですか。
考え方としてはあり得ますが、手当やまかないは割増賃金の計算や税務の扱いが絡んでくるため、時給の話より複雑になります。まずは基本の時給を段で整理して、手当を足すかどうかは、その後で社労士や税理士に相談しながら決めるのが安全です。
※ この記事は考え方の目安をやさしくお伝えするものです。税金・経費・契約・補助金などの具体的な判断や最新の情報は、税理士などの専門家や公的な窓口でご確認ください。AIの計算結果も、最後はご自身の数字でお確かめください。
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