お悩み解決 / 飲食店
同じクレームが何度も来る飲食店へ|謝って終わりにしない「原因つぶし」の3ステップ
「料理が遅い」「頼んだものと違う」。その場では丁寧に謝って収めているのに、しばらくするとまた同じ内容で言われる。これは接客の質の問題ではなく、原因が残ったままだからです。
こんな状態、ありませんか?
クレームが入るたびに、その場で謝ってドリンクをサービスしたり、料理を作り直したりして収めています。忙しさに紛れて記録は残さず、朝礼で「気をつけよう」と共有して終わり。それでも数週間するとまた同じ内容で言われ、そのたびに気持ちが沈みます。スタッフも「またか」という空気になり、何が悪いのか分からないまま注意され続けるので、だんだん萎縮していきます。
こう変わります
クレームが「たまたま運が悪かった出来事」から「原因の分かっている課題」に変わります。1か月ぶんためて眺めるだけで、実は3〜4種類の原因に集中していることがはっきりし、そのうち1つを直せば件数の多くが消えることが分かります。スタッフを注意する回数が減り、「誰が悪かったか」ではなく「どの手順を変えるか」の話ができるようになります。
やり方(スマホのメモ(または無料のGoogleフォーム)+無料AI(ChatGPT・Gemini・Claude))
- まず1か月、クレームをその場で1行だけ残します。書くのは「日時・どんな内容だったか・そのとき店がどんな状況だったか」の3つだけです(例:金 19:20 料理が遅いと言われた/満席・調理2人)。ノートでもスマホのメモでも構いませんが、スタッフ全員が同じ場所に書けることが大事なので、共有メモか無料のGoogleフォームを作って、レジ横にそのQRコードを貼っておくと続きます。ポイントは、その場で書くこと。あとで思い出して書くと、肝心の「そのときの状況」が抜け落ちて、原因が見えなくなります。
- 1か月ぶんたまったら、無料AI(ChatGPT/Gemini/Claude)に貼り付けて分類させます。入力例は次のとおりです。「飲食店に寄せられたお客様からのご指摘を1か月ぶん貼ります。①内容が似ているものをグループに分け、多い順に件数を出してください。②各グループについて、表面的な出来事ではなく、その裏にある共通の原因を推測してください。③曜日・時間帯・混雑状況に偏りがあれば指摘してください。」。自分で眺めていると「いろいろあるな」としか思えなかったものが、AIに渡すと3〜4個のかたまりに整理されます。件数の偏りと時間帯の偏りが、原因のありかを教えてくれます。
- 出てきた原因のうち、いちばん件数が多いもの1つだけを選んで、手順を変えます。ここで「全部直そう」としないのがコツです。対策案もAIに出してもらえます。「この原因に対して、費用をかけずに手順や仕組みを変えるだけでできる対策を3案、忙しいピーク時でも実行できる順に挙げてください。スタッフの注意力に頼る対策は除いてください。」と続けて聞くと、貼り紙や声かけではない具体案が出ます。決めた1つは紙1枚にして厨房に貼り、翌月も同じメモを取り続けて、その項目の件数が減ったかを見ます。
メモにお客様の氏名・電話番号・席番号などは書かないでください。再発防止に必要なのは「何が起きたか」と「そのときの状況」だけです。AIに貼り付けるときも同じで、個人が特定できる情報は消してから渡します。特定のスタッフ名も書かず「ホール1名」のように役割で残すと、犯人探しではなく手順の話に集中できます。
数字でイメージ
たとえば、1か月で12件のご指摘があったお店を考えます。内訳を眺めると「料理が遅い」5件、「注文と違うものが来た」4件、「呼んでも来ない」2件、その他1件。ばらばらの問題に見えますが、時間帯を並べると9件が金土の19〜20時に集中していました。この場合、原因は接客の丁寧さではなく「特定の時間帯に処理が追いつかない」という一点です。ここで「注文をハンディに入れてから復唱する」など手順を1つ変えるだけで、注文違いの4件は次の月にほぼ消えます。逆に、12件それぞれに個別の対策を立てて全部やろうとすると、どれも定着しないまま元に戻ります。
ありがちな失敗・注意点
- 「気をつけます」「確認を徹底します」は対策になりません。人の注意力は忙しいときに真っ先に落ちるからで、まさにその忙しいときにクレームは起きています。変えるのは手順か配置か道具のどれかにしてください。
- 1件起きるたびに対策を1つ増やしていくと、ルールばかりが積み上がって現場が回らなくなります。ためてから、多い順に1つだけ。これを守るほうが結果的に早く減ります。
- メモを取る担当をひとりに決めてしまうと、その人が休んだ日の記録が丸ごと抜けます。抜けた日にかぎって大事なことが起きるので、全員が同じ場所に書ける形にしてください。
- AIの分類結果をそのまま信じ切らないでください。AIは貼り付けた文章からしか判断できないため、現場を見ている人から見ると的外れなグループ分けが混じることがあります。「これは違う」と思ったら、その理由を伝えてもう一度分類させると精度が上がります。
- 対策を決めたあとにメモをやめてしまうと、効いたかどうかが分かりません。翌月も同じメモを続けて、狙った項目の件数が減ったかどうかだけは必ず確認してください。
もう一歩:さらに深掘りするAIプロンプト
慣れてきたら、次のように聞くと一歩踏み込めます。
飲食店に1か月ぶんに寄せられたお客様からのご指摘のメモを貼ります(日時・内容・そのときの店の状況)。次の4点を出してください。①内容が似ているものをグループに分け、件数の多い順に並べる。②各グループの表面的な出来事ではなく、その裏にある共通の原因を推測する。③曜日・時間帯・混雑状況に偏りがあれば指摘する。④いちばん件数の多い原因について、費用をかけず手順や仕組みを変えるだけでできる対策を3案、ピーク時でも実行できる順に挙げる(「気をつける」「徹底する」のように注意力に頼る対策は除く)。読むのは飲食店の店主とスタッフなので、専門用語には一言の説明を添えてください。
まとめ
同じクレームが繰り返すのは、スタッフの気のゆるみではなく、原因が残っているサインです。1か月ぶんためて、いちばん多い原因を1つだけ直す。これを繰り返すだけで、謝る回数は着実に減っていきます。
よくある質問
クレームは月に数件しかありません。それでも記録する意味はありますか?
あります。むしろ件数が少ないお店ほど、記憶に頼ると「前にも似たことがあった気がする」で終わってしまい、つながりに気づけません。月2〜3件でも半年ためれば15件前後になり、そこで初めて偏りが見えます。1行のメモなら手間はほとんどかからないので、件数が少ないうちから始めておくほうが、あとで効いてきます。
口頭のクレームは記録しづらいのですが、どうすればいいですか?
その場でスマホに1行だけ打つのがいちばん確実です。「金 19:20 料理遅い 満席」のように、10秒で終わる粒度で構いません。手が離せないときは、レジ横に付箋を置いておき、単語だけ書いて閉店後に共有メモへ移す方法でも十分です。完璧に書き残そうとすると続かないので、粗くていいから毎回残すことを優先してください。
原因がスタッフ個人の問題だった場合はどうすればいいですか?
そう見えるときも、まず手順のほうを疑ってください。特定の人だけがミスをするなら、その人が使っている手順や覚え方が他の人と違う可能性が高く、教え方をそろえるだけで解消することがよくあります。それでも残る場合に個別の指導に進めば、本人も「自分だけが責められている」と感じにくくなります。
AIに相談すると、お客様の情報が外に出てしまいませんか?
氏名・電話番号・席番号・スタッフ名を書かなければ、残るのは「料理が遅かった」「混雑していた」といった状況の記述だけで、個人が特定される情報にはなりません。再発防止に必要なのはまさにこの部分だけなので、最初から個人情報を書かない運用にしておけば、そのまま安心して貼り付けられます。
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