お悩み解決 / 小売店

POPに何を書けばいいか分からない|売り文句をひねらずに「お客さんの一言」から30分で作る

商品は良いのに、値札の横が白いまま。書こうとすると「おいしい」「おすすめ」しか出てこなくて、結局ペンを置いてしまう。POPが書けないのは言葉のセンスの問題ではなく、書く材料を集めていないだけです。材料さえあれば、ひねり出す作業はほとんど要らなくなります。

こんな状態、ありませんか?

棚に並んでいる商品のうち、POPが付いているのは数点だけです。付けたほうがいいのは分かっているのに、いざ書こうとすると手が止まります。出てくるのは「新入荷」「人気です」「おすすめ」くらいで、どの商品に貼っても成り立つ言葉ばかり。それが分かっているので書く気もなくなります。雑誌で見たような気の利いたコピーを真似すると、今度は自分の店の商品と合っていない気がして、貼ってから落ち着きません。結局、何も貼らないまま数か月が過ぎています。

こう変わります

2週間、レジでお客さんが言ったことをスマホにメモしました。集まったのは「これ、どうやって食べるの」「前に買ったのと同じやつある?」「日持ちする?」といった短い言葉で、38件。そのうち同じ質問が3回以上出たものが6つありました。その6つに答えるPOPを作り、該当の商品の前に置きました。1か月後、6商品のうち4つで動きが変わり、いちばん大きかったものは月10個前後から27個になりました。書いた言葉は「冷蔵庫で4日もちます。そのままでも、温めても」の一文です。

やり方(スマホのメモ(音声入力で可)+無料AI(ChatGPT / Gemini / Claude)+Canva(印刷したい場合のみ・無料))

  1. 先に材料を集めます。ここを飛ばすと必ず「おすすめ」に戻ります。2週間、レジと売り場でお客さんが口にしたことを、そのままの言葉でスマホにメモしてください。質問、独り言、買わずに戻したときのひと言、どれも材料です。「これ何に使うの」「高いね」「子どもでも食べられる?」。きれいにまとめず、聞こえたとおりに残します。スタッフにも同じことを頼み、1つのメモにためてください。手が離せないときは音声入力で10秒しゃべるだけで十分です。2週間で30件前後たまれば足ります。同じ質問が繰り返されているものが、そのままPOPにすべき項目です。
  2. たまった言葉を無料AIに貼って、POPの形に整えてもらいます。こう指示してください→「小さな小売店をやっています。2週間でお客さんから実際に出た質問や言葉を貼ります。①同じ意味のものをまとめて、多い順に並べてください ②それぞれについて、店頭の小さなPOPに書く文案を3つずつ作ってください。条件は、1つ20文字以内、商品の事実だけを書き、『おすすめ』『人気』『絶品』のような感想の言葉は使わないこと。お客さんの質問にそのまま答える形にしてください。」 出てきた文案のうち、自分が事実だと確認できるものだけを残します。日持ち・産地・分量・使い方は、必ず自分で裏を取ってください。AIは並べ替えと言い換えの担当で、その商品を知っているのは自分だけです。
  3. 手書きで6枚だけ作って、置いてみます。最初からきれいに印刷しないでください。小さな店では手書きのほうが読まれますし、何より直せます。名刺大からハガキ大の紙に、太いペンで1枚1項目。商品の前、お客さんの目の高さより少し下に置きます。2週間たったら、動きが変わった商品と変わらなかった商品を分けてください。変わらなかったPOPは、言葉が悪いのではなく、その商品でお客さんが迷っていた点が違ったということです。メモを見直して別の質問に答え直します。印刷物にするのは、効いた文面が確定してからで間に合います。

お客さんの言葉をメモするとき、その人が誰か分かる情報は書かないでください。「常連の◯◯さん」ではなく「常連の方」で十分です。そのメモはあとでAIに貼ることになるので、名前・勤務先・家族構成・体調に関わる話は最初から残さないのが安全です。必要なのは質問の中身だけで、誰が言ったかは一度も使いません。

数字でイメージ

ある食品を扱う小さな店では、ためた38件を並べ替えたところ、上位3つが「日持ち」「食べ方」「量」に集中していました。店主が意外だったのは、味に関する質問がほとんど無かったことです。味は食べてみないと分からないので、お客さんは最初からそこを聞いていませんでした。迷っていたのは、買って帰ったあとに困らないかどうかのほうでした。そこで味の表現をやめ、「冷蔵庫で4日もちます。そのままでも、温めても」「1袋で2人分くらいです」に書き換えたところ、動きが変わりました。反対に、見た目の良さを書いたPOPは2週間置いても変化がなく、メモを見返すと、見た目について聞いた人は一人もいませんでした。

ありがちな失敗・注意点

  • 「おすすめ」「人気」「絶品」「自慢の」は使わないでください。どの商品にも貼れる言葉は、お客さんの判断材料になりません。迷っている人が知りたいのは、店の感想ではなく、自分の生活に合うかどうかの事実です。感想の言葉を全部消すと書けなくなる商品があれば、それはまだ材料が集まっていないというサインです。
  • 長く書かないでください。売り場のPOPは立ち止まらずに読まれます。20文字を超えたあたりから読まれなくなり、説明したい気持ちが強いほど長くなります。伝えたいことが2つあるなら、POPを2枚に分けてください。
  • 全部の商品に付けようとしないでください。棚一面がPOPだらけになると、どれも目に入らなくなります。よく聞かれる商品から数点に絞るほうが効きます。付ける数を増やすより、効かなかった1枚を書き直すほうが成果につながります。
  • 他店のPOPをそのまま写さないでください。文面が自分の店の事実と合っていないと、聞かれたときに答えられません。参考にするなら、言い回しではなく「何について書いているか」を見てください。
  • 産地・原材料・効能に関わる表示には、景品表示法や食品表示法などのルールがあります。特に「体に良い」「◯◯に効く」といった健康に関わる表現は、書き方によって問題になります。迷う表現は貼る前に外し、必要なら公式の情報や専門家に確認してください。事実を短く書く限り、この問題はほとんど起きません。
  • 2週間のメモを取らずにAIだけで作ろうとしないでください。材料がないとAIは一般的な売り文句を返してきます。それは最初に自分で書いて手が止まった言葉と、ほとんど同じものになります。

もう一歩:さらに深掘りするAIプロンプト

慣れてきたら、次のように聞くと一歩踏み込めます。

小さな小売店をやっています。2週間でお客さんから実際に出た質問や言葉を貼ります。①同じ意味のものをまとめて、多い順に並べてください ②それぞれについて、店頭の小さなPOPに書く文案を3つずつ作ってください。条件は、1つ20文字以内、商品の事実だけを書き、「おすすめ」「人気」「絶品」のような感想の言葉は使わないこと。お客さんの質問にそのまま答える形にしてください。

まとめ

POPが書けないのは、言葉が思いつかないからではなく、書く材料が手元にないからです。お客さんはすでに答えを口にしています。2週間ためて、6枚書いて、置いてみる。ひねり出す作業は、ここには出てきません。

よくある質問

字が下手なので、手書きは避けたいのですが。

きれいな字である必要はありません。読める大きさで、太いペンで書かれていれば十分に役目を果たします。それでも気になるなら、まず手書きで2週間試して、効いた文面だけをあとから印刷してください。順番を逆にすると、効くかどうか分からない文面をきれいに印刷することになり、直しづらくなります。

お客さんがあまり話しかけてこない店です。材料が集まりません。

声に出た言葉だけが材料ではありません。手に取って戻した商品、裏面を長く見ていた商品、レジで一度出してからやめた商品。それも「迷っている場所」を教えてくれます。気づいたときに商品名と様子をメモしてください。裏面を見ていた人が多い商品なら、裏面に書いてある情報のどれかが、POPに出すべき内容です。

何枚くらいから効果が分かりますか。

6枚を2週間が目安です。1枚だけだと、たまたま売れた日と区別がつきません。逆に20枚一度に貼ると、何が効いたのか分からなくなります。6枚なら、変わったものと変わらなかったものが並んで見えるので、次に直す場所が分かります。

価格や割引は書いたほうがいいですか。

値引きの情報は目を引きますが、この手順で作るPOPとは役割が違います。値引きは買う理由を作る代わりに利益を減らします。まずは事実を書いたPOPで動くかどうかを見てください。それで動いた商品は、値引きなしで売れる商品です。順番として、値引きの判断はそのあとです。

作ったPOPは、いつ替えればいいですか。

効いているものは替えなくて構いません。書いてある内容が事実である限り、古くなりません。替えるのは、2週間置いても動きが変わらなかったものと、商品の中身(日持ち・分量・産地など)が変わったときです。月に1回、6枚を眺めて、事実と違っている紙がないかだけ見てください。

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